本日ご紹介の患者さんは他院にていままで6〜7回 エラの張りに対して ボトックス注射をされていた患者さんです。
一年前からボトックス注射が効かなくなりその旨を伝えてもそこのクリニックでは「ボトックスが効かない人はいない」と言われたとのことでした。
その医師が不勉強だったのか逃げ口上で申したのかそれとも他の事情があったのか実際のところはわかりませんが
実際にボトックスを始めとするボツリヌス毒素製剤に対して抗体ができてしまい無効になってしまう方々はいます。
今回この患者さんはカウンセリングの結果、ラジオ波を用いて咬筋神経処理を行うNIMR(non incisional masseter reduction : 非切開式咬筋萎縮術)をご希望されました。
左:術前です。 右:術後3か月再診時です。

エラの張りも抑えられ、噛みしめをしていただいても触診上咬筋の収縮は部分的にわずかに残存するのみで順調な経過です。しかし開口時の左右差が気になるとのことで御感想は(普通:3/5)ということでした。

もともと開口時の筋肉の張りを記録写真としてとっていなかったので術前との比較ができずどのくらいの差が生じたのかわかりませんがどうしても気になられるようでしたら残存咬筋を処理します。
またの再診をお待ちしております。
正面からみてエラの部分が張っているが気になられる場合以下の方法があります。
1.ボツリヌス毒素注射 ・・・・ 効果は約4か月です。 長所は腫れも少なくお手軽ですが欠点は半永久的ではなく何回も打っているとボツリヌス毒素に対して抗体が生じてしまい無効になってしまう可能性があることです。
2.咬筋切除 ・・・・・・腫れますが効果は確実です。 欠点は顔面神経下顎縁枝を損傷する可能性がなくはなく、その場合は口角下制筋等の動きに麻痺が生じる可能性があることです。 この麻痺はほとんどの場合一年以内に回復しますが損傷の程度により半永久的になる可能性も否定はできません。
リスクを受け入れることができて確実な効果をお求めの患者さんには一番のお勧めの手術になります。
3.TCR ・・・・・・ ラジオ波により咬筋を焼き破壊して縮小させるものです。 欠点は効果が弱いケースが多いようで「TCRをやったが3か月後には戻った」とおっしゃる患者さんが多いことです。 大量に咬筋を焼く場合は顔面神経下顎縁枝を損傷する可能性があります。
4.NIMR・・・・・・ラジオ波により咬筋を支配する咬筋神経を破壊する方法です。 欠点は咬筋神経の破壊の程度によっては神経再生の可能性があり再手術の必要性も考えられます。
NICRの再手術率が10%であることを考えるとNIMRも同程度の再手術の可能性が予想されます。
5、骨切り術, 下顎骨外板外し・・・・・手術により下顎骨の下顎角部の切り落しおよびその付近の外板を外す方法です。 欠点は骨切り手術のためそれなりに腫れますし、出血や術中下顎骨骨折の可能性、下歯槽神経損傷、挿管全身麻酔のリスク等があります。
様々な方法があるのでご自身がどの施術の欠点なら受け入れることができるのか熟慮されて手術方法および医師を選択されるのがよいと思います。
先日お心遣いをいただきました。

ありがとうございます。 どうか御気を遣わないでください。
2010-05-19