本日ご紹介の患者は美容形成外科後遺症:ルフォーⅠ型骨切り術、鼻中隔延長術の患者さんです。
 
既往として10代の時に鼻プロテーゼ留鼻術をお受けになられたことがありました。
約3年前に「顔を小さくしたい」との希望にて某形成外科専門医Aに相談したところルフォーⅠ型骨切り術!?を勧められ同手術を受け、鼻先を小さくするためにプロテーゼを抜いて肋軟骨遣い鼻中隔延長術を行いかつゴアテックス?をいれたとのことでした。
 
この手術のおかげで術後より小鼻が広がってしまい、笑っても上顎の歯がみえなくなり、上あごの歯全体に違和感が生じ、なおかつかみ合わせが正常咬合から切端咬合になってしまいおかしなかみ合わせで常に異常感が生じるようになってしまったとのことです。
 
その1〜2か月後にその手術で小鼻を広がってしまったため小鼻縮小をそして上顎骨に固定してあったプレート除去術を同上医師の執刀にて行いました(おそらくルフォーⅠ型骨切り術をした際に固定のために使用されて金属スクリューやプレート)
 
またその数か月後に伸びてしまった鼻下(笑っても上顎の歯がみえなくなってしまった事態)に対し鼻の穴の中のみから切るという鼻下短縮術を同上医師の執刀にておうけになるもまったく効果がなかったとのことでした。
 
この時点で一度私の元にご相談にこられました(2年前の2007年でした)。
この時点で私のカルテをみると
・前医の執刀にて鼻が大きく広がってしまった→修正手術希望→まだ前医の術後半年を経ていないので当院ではお受けすることができない。
・上顎の手術をしてから上口唇の運動麻痺(+)
・鼻の術後より鼻で息がしずらくなった → 診察上 鼻中隔の肥厚(++) 前医での鼻中隔延長手術が原因か?
・術後より多数の上顎の歯が動揺するようになった→LefortⅠ型骨切りで歯根部を誤って切った!?→歯科にて精査を勧める
と記載してありました。
 
「今は前医にいきたくない」 とのご希望でしたが機能障害が生じていたため前医に再度相談するかどうしても前医がいやであれば他科のコンサルトが受けやすく入院施設が整っている総合病院や大学病院をお勧めしその時はお帰りいただきました。
 
その後何件も何件もご相談にいかれ、私が「この先生ならまともではないのか?」とご提示した某総合病院の形成外科専門医Bの元を訪れたところ某クリニックの形成外科専門医Cを紹介されその医師により上顎にプレートを入れて縮めた上顎を伸ばすという手術を受けることになりました。 しかし結果は全く効果がなかったとのことでした。
その後 異常だと自覚する鼻を改善するため前述の形成外科専門医Bにより鼻の組織およびゴアテックスを取り出しました。
 
そしてその後再度 形成外科専門医Cを訪れ下がってしまった上口唇部を引き上げるために鼻のよこからのつり上げ術!?(術名不明)をお受けになるも効果がまったくでなかったとのことでした。
 
この間 おかしくなったかみ合わせを改善するために形成外科専門医Cの紹介で歯科医にてインプラントをいれるも改善なかったとのことでした。
 
ここまで(3年前の上あごの手術から)現在までこの問題でA医師、B医師、C医師および紹介された歯科医師に支払った施術費用の総額は約700万円。 
 
 
そして本年にはいり2年ぶりに私のクリニックに再度ご相談にこられました。
 
上段:三年前術前です(写真は患者さんの御持参した写真です)。
下段:本年カウンセリング時です。
現在はマスクで顔を隠して生活する毎日だとのことでした。
 
笑っても上の歯がみえず現在でも上顎の異常感が続いておりかみ合わせの異常は改善されていません。
小鼻の横には以前にはなかったという膨らみが口をイーと広げるとできるようになったとのことでした。
また小鼻のいわゆる鼻翼溝が上まで本来あるべきものがなくなったのを気にされていました。
 
鼻の中は肥厚した組織で中の鼻腔は狭くこれ以上の縮小手術は通気障害が生じる危険性が高いことが予想されます。
ここで執刀した医師を責める気はありません。 執刀医は最善を尽くすべく努力されたはずであり、また、それぞれの事情があったはずであり、「後医は名医」の格言どおり後医である私が前医の言い分を検証せずに批判することは卑怯ですらあるからです。
 
ただこれらの手術をお受けになろうと考えていらっしゃる方々には手術を受ける前に熟慮していただきたいと思います。 安易な宣伝等にのせられてはいけません。 医療行為は必ずなんらかの合併症が生じる危険性がある行為であり安易にメスをいれることは厳に慎むことです。また特に美容外科においては執刀することにより医師に利益がはいるため残念ながら必要ない手術まで勧められる可能性も十分あります。
 
 
 
 
 
患者さんのご希望としては「1.下がった口元を上げたい 2.鼻幅を狭めたい 3.できれば鼻プロテーゼを入れてほしい」とのことでしたが 1.に対してはLefortⅠ型手術で生じたミッドフェイスの低下に対しミッドフェイスリフトを行いそれにより付随的に口元を上げる  2.に対してはすでに前医にて外側法でも内側法でも小鼻縮小術が施術されておりこれ以上切ることはできない。しかしLefortⅠ型手術の際に骨から剥離された顔面軟組織が梨状口部分(顔の骨で鼻の穴の部分)できちんと固定されなかったのが原因であろうから顔面軟組織を再度骨から全部一度剥がし解剖学的適正位置にもってくる。 口唇をもっとめくれされるには連続VY形成術にて口唇を厚くしめくれあがるようにする。 3に対しては今回の手術ではやらない。 1.と2.がうまくいって状態が落ち着いてから考えましょう との方針にて施術を行うこととしました。
 
よって今回ミッドフェイスリフト術、上口唇連続VYplasty術、小鼻縮小術(骨膜剥離後解剖学的正位復位法)をお受けになられました。
 
手術後翌日再診時です。



しかし 結果は「不満 (1/5) 」 でした。

手術して約1週間を経て先日患者さんからメールをいただきました。


先生へ

お忙しいところ メールをすみません。
先日は 手術ありがとうございました。あちこちでも断られる難しい手術なのに 引き受けてくださったこと感謝しています。

今回の手術が終わって1週間・・・
自分の顔が今度こそ 人らしい顔に戻れると信じて手術の日を待ち 前向きに頑張って来れました。

でも残念な事に 今鏡を見るたび絶望感で、また辛い日々の始まりです。


○○○○の●●先生に あの顔にされてからもう3年になろうとしています
何件病院へいき 何回手術をして 何回絶望感と闘ってきたか
1回手術しては 次さわれるまで 最低3か月 そんなことを繰りかえし
人との付き合いができ無くなり 仕事できなくなり 人前ではマスク
普通に食事にさえ行くこともできなくなりました。
手術代で大金が無くなっていくばかり でもこのままでは生きていけないので 治すしかなく
こんな顔で仕事は どうしたらいいのか・・ 先の不安
くちでは言い切れないほどの 3年でした。

顔が治らないと 再起できないのです

先生  どうか私を助けて下さい
早く普通の生活に戻りたいのです。
急ぐのです。

とりあえず1か月検診で ということはわかってるんですが
不安で不安で辛くて。

手術して、これが結果。で ほりだされてしまったらどうしたらいいいのか

1か月検診には必ず行きます
どうか よろしくお願いいたします

大変お忙しいところ すみませんでした

△△



こんなに苦しい年月を送った末、私のような無名の一美容外科医を訪ねてきてくださり勇気をだして手術をお受けになられたにも関わらず満足のいく結果をご提供できず美容外科医として本当に 本当に申し訳なく思います。
私として現在できることは今後とも私の能力においてできる限りのことをして差し上げることであり、後は 外科医として恥も外聞もかなぐり捨て この患者さんを治すことのできる医師を探して差し上げることです。

もう何件も何件も大学病院等渡り歩いて幾度も手術を断られようとも日本には約28万人の医師と約9万7千人の歯科医師がおりその中でもLefortⅠ型骨切り手術等の後遺症を完治させることができる医師・歯科医師がいると信じたいです。

形成外科・美容外科で著名な!?前述の A・B・C医師が治せなくても、有名=技術があるわけでは必ずしもありません。   無名でも日々の臨床に黙々と励んでおられ人知れず凄腕の外科医がいるはずですしいてほしいです。

 「美容外科にかかるなら○○専門医や適正認定医」という宣伝をしている団体はそのような肩書きの先生方にかかって莫大な施術費をチャージされたあげくに現在のような機能障害を生じてしまっている結果になっている以上はその学術団体で責任をもって廉価で治療して差し上げるべきではないのでしょうか? 

それともなんですか? それらは容貌にコンプレックスをもつ人から大金をださせる錬金術のための肩書ですか?

熱くなりすぎ言葉が過ぎました。 ごめんなさい。

どうかこのブログをみてこの方を治して差し上げる自信がある先生はDr_shirayuri@hotmail.co.jp までご連絡ください。 
学閥や所属学術団体等の枠を超え医療人としてこの方を救える技術のある先生が連絡をくだされば幸いです。 
治せると自信をもっていえる先生がいらっしゃるなら私は先生の施術費にあててもらうため施術費を全額返済し紹介状を記載し患者さんにむかってもらいます。

いないなら・・・ 私が患者さんに満足していただけるかフラれるか刺されるかまで私の全能を傾注するのみです。

2009-06-17

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