先日海上自衛隊で格闘訓練中の男性が死亡したとのニュースを耳にしました。
ある女性医師のコメンテーターが「急性硬膜下血腫になるには相当な衝撃が必要です。なぜそんなひどい衝撃が加わるほどの力で殴ったのでしょうか?」とコメントしていましたがパンチがあたって後頭部を打って急性硬膜下血腫になったとの情報からは一概に強い力でなぐったとは言えないと思います。
軽く顎先を引っかけるだけのパンチでも頚椎を軸に顎先からのモーメント作用で脳震盪を起こします。 頬骨やエラに打ち込まれるパンチはそれなりに重くても耐えることができでも顎先をひっかけるような軽いパンチにいとも簡単にやられてしまうことは格技をやっている者なら体感事項です。脳震盪を起こして立位を保てなくなり転倒して頭部を床にしたたかに打ちつければ急性硬膜下血腫を引き起こすでしょう。
本当にシゴキでやったのか偶発的な事故なのか第三者の私にはわかりませんがその医師がもっともらしくいかにも海上自衛隊のシゴキのごとくコメントしているのが不快でした。
詳細の事情がわからないことにはコメントしようがない。 これが事実だと思います。
特に自身の専門領域に関してはマスコミにおけるその発言は社会的責任を負いますので深慮を経た発言をしなければならないと思います。
最近とみに他院の手術結果についてメール等でご相談をうけますが「コメントがしようがない」の現実です。
結果論だけで判断することはしてはいけないと思います。 それぞれの医師、患者さんの間でのやりとりがありそれに対しメールで結果だけを見聞きしそれに対して安易に容喙(ようかい)することは職責上できません。 ご理解ください。
本日ご紹介の患者さんは他院にて留置した鼻プロテーゼが右に変位しているのでそれを直してより太く高くしたいとのご希望にて入替術をお受けになられた患者さんです。
写真:術前です。 (写真は患者さんのSBM承諾を得て供覧してます)
プロテーゼの変位を防止するために中心位に固定糸を留置して術後約5日程度で抜糸予定でしたが術後2週間以上も経ているのに再診にいらしておりません。
電話連絡もつかず事故にあわれたのか他院で抜糸されたのか否かも定かでありません。
どうかご無事でいらっしゃいますように。 再診お待ちしております。
2008-10-15