下顎孔からはいった下歯槽神経が通っている下顎管が左エラ骨切り後の骨縁で露出しています。 下歯槽神経の露出、損傷が疑われる所見です。
今まで同じ医院から輪郭手術後のトラブルを抱えた何名かの患者さんが相談にいらっしゃっています。
私はここでその医師の個人攻撃をするつもりは全くありません。
仮に99.5%の成功率の医師でも件数を多く行っていればそれだけ不具合を生じた患者さんが多く生じるのかもしれません。 すなわち年間1000例執刀している医師であれば99.5%の成功率でも5名の不具合患者さんが発生します。 100例しか執刀していなければ1名生じるか生じないかになります。
医師の手術技術の程度を数値化するは難しいのが現状です。
しかし形成外科診療の片手間に美容外科を標榜している医師に公的な場の文章で一方的に総執刀数や不具合発生率を一顧だにせず「一般論として非形成外科医による美容手術においてトラブルが起きることが多い」と記載されては日々美容外科に専従する医師達はたまったものではありません。
私が診療を行っているクリニックは場所とメニューを一般患者さんに通知するホームページを除いて一切の有料広告を行っておりません。 それでも私の元にきてくださる患者さんは現状をどうにかしたいと必死に情報を集めてきてくださる方々ばかりです。 美容外科手術は形成外科専門医の執刀が安心とのことで最初そのような標榜をする医師に執刀されその後不具合により再手術、修正手術を希望され私の元を訪れる方々が多いのが実情です。
私個人は美容外科は独立標榜科であり形成外科とも整形外科とも異なる科でありいかなる科の医師も美容外科に従事するのであれば熟達した美容外科医師の指導を受けるべきだと考えています。形成外科の延長もしくは片手間に美容外科が行えると考えているのならばそれは傲慢であると思います。
ここで述べたいのは美容外科手術を行うのに形成外科医が良いとか悪いとかいう次元ではありません。 私にも技術、人格ともにすばらしいと認める形成外科専門医の先生がいます。そんな先生の執刀を経て私の元にこられると恐縮してしまいます。もちろん私の執刀で納得がいかず形成外科専門医を含む他院に行かれている患者さんもいらっしゃると思います。
御高名な先生が執刀されたケースでも「え?あの先生が本当に執刀して今の状態なのですか??」というような症例もたくさんご相談にいらっしゃいます。
日々の臨床の経験でいえることはどんな御高名な先生でも万人を満足させる美容外科手術はできていないということです。
先日記載させていただいた山口大学元教授の柴田先生のおっしゃるとおり専門医制度は医の堕落の始まりと考えます。医者同士のアイデンティティー確認のためならいざしらず、患者さんを集めるための標榜道具としたらこれほど下劣なものはありません。「○○専門医だから安心」ということは「○○大学卒の医師だから安心」と同様のレベルであり、そのような宣伝をして患者さんを集める事自体が品性がないと思います。 また自己が所属する団体の所属の有無で良医であるか否かを判断するのも視野が狭いとしかいいようがありません。
今日は高校の同窓会でした。 他学部卒業後に社会人を経て医学部に入りなおしてあと数ヶ月で研修を終え今度小児科の医局に入局する予定のT君といいお酒が飲めました。
数多き科の中でも小児科、産婦人科は特に忙しい科だとは思いますが初心を忘れず頑張ってください。 応援しています。
2007-12-30